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クリスマスプレゼント

ひとりぼっちのクリスマスイブ。
いるはずの人がいない、クリスマスイブ。
「なによ、6時には帰る、って言ったじゃない…。」
今の時刻は、夜の8時30分。
6時に「家に」帰る、ではなくて、6時に「会社から」帰る、だとしても、すでに家に着いていなければおかしい時間だった。
「さすがにお腹減ったなあ…。」
私は冷蔵庫を開けてみる。
クリスマスパーティー用の食材ならいろいろ入っていたが、普段の夕食を作るような材料は足りなかった。
「ひとりでパーティー始めるのも嫌だし、買ってくるかあ。」
仕方なく、私は寒空の下、近くのスーパーへと買い出しに行った。
クリスマスイブにはあまり似合わない献立を考えつつ、材料をカゴに放り込んでいく。
途中、知り合いの子供にそっくりなかわいい子を見かけて、思わず見惚れてしまうハプニングがあったけど、それは諦めようとしていた夢を思い出させる結果となって、かえって寂しさが増してしまう。
結局、作ろうとしていた献立も思いきり簡略化されて、卵かけご飯にしらす干しだけ、みたいな普段でも食べないようなメニューになる。
「あなたがいけないんだからね。約束、破るから…。」
何かをする気力もなくなり、私は早々に布団に潜り込んだ。
時刻は10時20分だった。

みしっ…みしっ…。
フローリングの床がわずかにきしむ音。
寝入り端だった私だけど、その音で目覚めると思わず身を硬くした。
(え?泥棒?)
戸締まりはしたはず。
いやしかし、この音は確かに家の中を誰かが歩いている音だった。
しかも、電気を付けず、わざわざ暗い中を歩いてるという事実が、私を震え上がらせた。
こういう時は、決して声を出してはいけない。
寝たまま気づかないふりをしていれば、まだ身は安全なのだから。
でも…。
(うそ、こっちに来るよ…。)
その気配は確実に私に近づいてきていた。
私は息すらまともにできなくなり、身体を丸めて小さくなった。
気配の主は、私の寝ているすぐそばにやってくると、私の様子をしばらくうかがっていた。
(たすけて…。)
もうだめ…そう思った瞬間だった。
カサッ…。
何かが私の枕元に置かれる。
音からすると、そんなに重い物ではないようだった。
(!?)
状況が掴めず、動けないままでいる私。
すると、しばらくして気配の主の声がした。
「ごめんね。もう寝ちゃったんだね…。」
あの人の声だった。
約5時間の遅刻。
「お、起きてる、もん…。」
私はゆっくり身体を起こしながらそう言ったけど、さっきまでの極度の緊張のせいで、絞り出すようにしか声が出ない。
それは、あの人には泣き声に聞こえたようだった。
「あ…。本当にごめん。これの手配に時間かかっちゃって。」
カサカサ…。
枕元の物が再び音を立てる。
私に見せようとしているのかもしれないけど、暗い中ではよくわからなかった。
「さ、寂しかったし、怖かったよう…。なんで電気点けないのよ…。」
「いや、だってもう寝てるみたいだったから、起こすのかわいそうだと思って。」
優しさが仇になる、典型的なパターン。
でもこの人の普段の優しさは知っているから、怒るに怒れない。
「本当にごめん。これで許して…。」
私を後ろからギュッと抱きしめる。
包まれる感覚に、私は少しずつ身体を委ねていった。

いつしか私たちは裸になり、素肌同士を重ねていた。
決して嫌いなことじゃない、ううん、むしろ大好きなことだったはずなのに。
いつからこうすることを避けるようになったんだろう…。
だけど、忘れかけてた温もりを感じて、私は涙を流し続けていた。
そんな私をギュッと抱きしめ、優しく頭を撫で続けてくれる愛しい人。
その愛を感じるからこそ、私は溢れるいろんな想いを抑えられず、ただ泣くしかなかった。
泣いて、泣いて、泣き続けて…。
泣き疲れて、いつの間にか寝てしまうまで…。

目を開ける。
目の前には愛しい人がいる。
もうすっかり空は明るくなっていた。
「おはよう。」
「おはようございます。あう、私、寝ちゃってた。」
「うん。」
じっとまっすぐ見つめてくる瞳。
「もしかして…ずっと見てた?」
「うん。」
「あうう…。恥ずかしいよ…。」
私は顔を赤くする。
「ふふふ。あ、これ。」
枕元に置かれた昨日の包みを渡してくれる。
「あ…。開けていい?」
「もちろん。」
ゆっくりと包みからそれを取り出す。
小さな箱を開けると、そこにはまばゆい光を放つ宝石が入っていた。
プレゼント
「えっ…。」
「綺麗でしょ。チャームになってるんだよ。」
そっとそれを持ち上げてみる。
チェーンに繋がれたリングに、その透明な宝石はついていた。
見たこともないほど、それは大きく美しかった。
「こんな…。高かったんじゃ?」
「気にしちゃダメ。気に入ってもらえると嬉しいんだけど。」
「すごい、嬉しい…。本当にいいの?」
「返品不可。」
「あう、ありがとう…。」
また涙がこぼれる。
昨夜から私、泣きっぱなしだ。
そんな私のおでこに、そっとキスしてくれた。
私は自然に甘えるように、愛しい人に抱きついた。

全身に降るキスの雨。
それは敏感な所や、恥ずかしい所にも降り注いだ。
喘ぎ声に混じる泣き声。
悲しいわけじゃないのに、嬉しいだけじゃない、複雑な思い。
でも、自分の気持ちに嘘をつくのはやめた。
自分の気持ちに嘘をつくと、心に壁を作ってしまうから。
だから、泣いた。
泣いてしまう時は、遠慮なしに泣き続けた。
大きな愛に包まれながら、いつか心が本当に癒えるまで。
「クリスマスプレゼント、本当にありがとう。」
「これ、そんなに気に入ってくれた?」
「これも、だけど…。あなたの、私の全てを包み込んでくれる、大きな大きな愛が、一番嬉しい…な。」
もう一度身体を重ねる。
暖かな朝日に、一緒に包まれながら。
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