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一周忌

その女の子は福島のとある町で生を受けました。
お父さんもお母さんも大喜び。
両親の愛情をたっぷり受けて、彼女はすくすく育っていきます。
笑顔のとってもかわいらしい女の子だったのですが、小学校に上がる頃に異変が。
母親が病院に連れて行き、診断を受けた結果、彼女の身体にガンが見つかります。
でも手術は成功、その後の経過も良好で、まさに学校に戻ったばかりのことでした。

東日本大震災発生、そして福島原発の事故発生…。
彼女は生まれ育った家を離れ、友達ともバラバラになっての避難生活を余儀無くされます。
それでなくても、入院生活のため、友達と過ごした時間も少なくて。
いろんなストレスからか、彼女から笑顔が失われていきました。

そんなある日…。
私は復興関連の仕事のため、彼女が避難していた地域を訪れました。
キュアブロッサムのコスプレをして行ったので、子供たちにはそれなりに好評。
反面、大人たちには一部白い目で見られたりもしましたが、まあ着ぐるみショーみたいなものと考えていただきました。
で、彼女には大好評だったみたい。
あっという間に仲良くなり、仕事が終わって帰る時も、絶対また来てね、って約束して。
キラキラした笑顔が忘れられない子でした。

仕事の時だけじゃなく、プライベートでも時間を作って遊びに行ったり。
一緒にプリキュアごっこをするのがお決まりです。
同い年の友達は、プリキュアは卒業してしまっていて、こういう遊びができる私が来るのを、彼女は指折り待っていてくれました。
プリキュアの他はリラックマが好きというので、ソラマチ限定のリラックマグッズをお土産に持って行ったり。
東京に遊びに行った時は、一緒にスカイツリーに昇ったり、水族館に行ったりしようね、なんて約束もしました。
もちろん、プリキュアプリティストアーに行くのも予定済みです。

一方で、早く自分の家に帰りたいという、本音も聞いていました。
一向に進まない除染作業。
戻りたくても戻れない…。
そんな日々が続きます。
日々の生活は、やはり面白くはなかったのでしょうか。
でも、親子の会話で、私の話が度々出るようになって。
その時の彼女は、以前のようなかわいらしい笑顔を浮かべていたと母親から聞きました。
そんな彼女が、能天気な私の笑顔を、すごい眩しく見えるって言ってくれたことがあります。
ちょうどスーパーシルエットの衣装を着たこともあってか、私を天使さまだと…。
すごい、恥ずかしかったなあ。
でも、彼女の前では、とにかく笑顔でいよう、って決めました。
うん、決めたんです…。

だけど…。
彼女を再び病魔が襲います。
ガンの再発…。
ちょうど成長期にかかってたことも災いし、気づいた時には手遅れだったらしいです。
緊急入院、手術に投薬。
手を尽くしますが、彼女の身体は弱っていく一方。
なのに、私がお見舞いに行った時は、心配させないように、笑顔いっぱい、元気いっぱいで出迎えてくれたり。
私も笑顔を絶やさないようにしながら、一緒の時間を過ごしてました。
きっと治る…。
治ったら、スカイツリー昇って、夕焼けを一緒に見て…。
そんなことを話していたのに…。

ある日、母親から電話が来ました。
もう、助からないかも、って。
容体が急変して意識が戻らなくなった、と。
私は慌てて飛んでいきました。
私が行けば、またいつものような、キラキラした笑顔で出迎えてくれるに違いないと信じて。
でも、彼女は寝たままでした。
私は思わず泣きそうだったんだけど、母親が、笑顔でいてあげてください、と言うので、無理やり笑顔でいました。
彼女の言う天使の笑顔で、彼女の病気が治るなら、私はいくらでも笑顔でいる…。
そう思って、面会時間いっぱい寄り添ってました。

1日挟んで、また病室に行って。
チームメンバーから預かった千羽鶴とか届けました。
彼女はあれ以来目を覚ましてないらしい。
時々苦しそうにするのがすごい辛くて。
代わってあげられるなら、代わってあげたい…。
まるで母親みたいな思いです。
辛い、泣きたい…。
でも約束だから、笑顔でいる。
ふと、母親が私の荷物に気づいて。
ブロッサムの衣装を持ってきているなら、その格好で話しかけてあげて、と。
私はキュアブロッサムの衣装に着替えて、彼女にそっと話しかけました。
もちろん、そんなことくらいで目を覚ましてくれるはずもなく、時間は過ぎて。
その日の面会時間も終わり、私は帰ろうとした時でした。

「お姉ちゃん、ありがとう…。」
そんな声が聞こえたのです。
私は慌てて彼女に駆け寄ります。
だけど、彼女は寝たまま…。
あれは空耳だったの?
でも、その場にいた全員が、確かにそれを聞いていました。
あと少しだけいさせてと婦長さんに願い倒して、彼女を見つめ、話しかけました。
きっと今に目を覚ます。
そんなことを期待して。

でも残念ながら、彼女は目を覚ましませんでした。
ただ、さっきまでしていた辛そうな表情はなくて。
どことなく笑っているように見えたの。
夢の中で、遊んでいるのかな…。
私は彼女のキラキラした笑顔を思い出し、その場を後にすることにしました。

その夜…。
彼女は、そのかすかな笑顔を浮かべたまま、星へと帰りました…。




まもなく、その彼女の一周忌がやってきます。
彼女へのお土産は何にしようかな…。
さすがにプリキュアはもう卒業でしょうか。
リラックマサブレーとかは、気に入ってくれるかな。
彼女のキラキラした笑顔を見たいから、私もとびっきりの笑顔で行かないと、です。
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